ライフログ&クローゼット
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好きな服やファッショニスタ、個性についての覚え書きです
興味を持たれた方だけお付き合いください
コンフォータブルでちょっと遊び心がある服
自然や街や生活に馴染んだ服
音楽や映画やアートなどを感じる服が好きです
好きなファッショニスタは Julia Sarr-Jamoisで、シック&カジュアルなスタイリングが好きです
自分が着る時は、クロージングとしての服が8~9割、ファッションとしての服が1~2割、ぐらいのバランスがいいかな
服に愛情を持って大事に着ている方や、猫と写ったユーザーの方(4年半前に保護した猫🐱と暮らしてます)などを見るとお邪魔したりするかもれませんが、どうぞよろしくお願いします
ところで、 ファッションにおいてよく見聞きする(そのわりに漠然とした)個性とされるものが、ミクロでは「個人」の自由な選択から生まれるようで、マクロではマッチポンプ的な「システム」の産物だったりしますが
洋服を愛でてやまない方には言わずもがな、奇をてらったりSNSで映える人目を引く服が、個性的なファッションでしょうか?
激しやすい強烈なパ―ソナリティで知られるスティーブ・ジョブズが、いつでも黒のタートルネックにリーバイス501だったのは有名な話だけれど
ジョブズをアイコン的存在とした思想や精神を指す「ノ―ムコア」が、「シンプルな着こなし」や「ベーシックな服」として流通し一般化したのは
K-HOLEが提示したユースモードによって、メディアで取り上げられるようになり
アパレル業界やブランドが、長期的な景気低迷で、服への支出が減った消費者への売り文句として利用したからで (2022年の年間衣料費は、30年前と比較すると約4割減ったそうです )
それは表層的な記号を消費しただけの中身のないものでした
「みんな違ってみんないい」、「もともと特別なオンリ―ワン」、「ありのままの私」などが、個性尊重のようにカモフラージュした、消費のためのパッケ―ジングだったように
最近のエシカルやジェンダ―なども、消費を促す企業のPRの道具( 消費者にとっては免罪符 )になっていて
経済の論理に限られたものでしかない耳当たりのよい言葉で、子供の小遣いを掠め取る大人はどうかと思いますね
ユースモードでは、ノームコアの他にマス・インディという言葉が使われていて
マス・インディとは、他者との差異を際立たせた個性的とされるスタイルが 、マクロで見ればマスだったという意味の造語ですが
「個性的」なスタイルは、他者との差異によって規定され
否定すべき他者がいなければ、「個性的」なスタイルも成り立たずに消えてしまうパラサイトであり
市場の取り引きが、時間や場所の差異から利益を得るように、人の差異にも何かの意味があるという錯覚から生まれるもので
それは他者だけではなく、自分自身をも交換可能な消費財と見なすことで、言い換えれば「人の物化」です
作家の保坂和志さんが「個性っていうのは、人と違うことだと思いがちだけど、そうじゃなくて、まったく同じことをやっても少しの差が出るわけで、それが個性でしょう 」と述べているように
( そもそも「個性」という概念が、欧米から輸入されて120年程の歴史しかなく、西洋近代的自我を前提にした一神教的な概念でありフィクションとも言えます )
「個性的」なスタイルを目指して、他者との差異を強調すればするほど、それは他者と同様の凡庸な欲望や自意識に突き動かされているということであり
そのような「個性的であらねばならない」という規範を内面化し拘束されている状態が、果たして個性的でしょうか
個性的とされるファッションは、あらゆる差異を利用して利潤を得る資本主義というシステムと同じように
消費と所有の差異に恣意的に意味付けした虚構なのでしょう