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走一路のポスター/アートを使ったコーディネート

百物語『蚊』 私がまだ大学生だった頃の話です。 当時、RadioheadやSigur rosにハマっていた私は、日本にもそんなバンドいないかな?なんて事を考えたりしてて、名前を聞いたこともないインディーズバンドのライブを色々と観て回るのが趣味でした。 そんな時、男性4人組のバンド…仮に「カルテット」としておきます。そのカルテットというバンドが凄く良いって話を友人のA君がしてきたんです。大学の食堂で。 しつこく薦めるので、あまり期待はしていなかったんですが、騙されたつもりでライブに足を運びました。 会場は高円寺の小さなライブハウスだったんですが、結構お客さんが入ってました。カルテット以外にもいくつかのバンドが出演するのですが、殆どがカルテット目当てのようでしたね。 確か4組目だったと思います。 カルテットが登場しました。 Vo&Gt、Ba、Key、Drの4人組でキーボード担当はノートPCをいじっていたので、打ち込み音源の操作もしていたんだと思います。 演奏は静かに始まり、1曲目は歌詞の無いインストゥルメンタルでした。 当時はカラオケが絶好調の時代でしたので、歌詞の無い曲は割と珍しいものだったんです。 世間に媚びないような彼等の姿勢に、私は次の曲に期待しました。 2曲目は轟音と静寂が交互に訪れるようなそんな曲でした。その静寂の部分に蚊の飛ぶような音が幾つか重なって響きました… ン~ン… 私、すぐ気付いたんです。 これって人の声をサンプリングして加工したものだな。 普通に聴いてたら気付かないと思うんですが、私、音にはかなり敏感でして、すぐに分かったんです。 その音が圧迫感のある静けさとでも言いましょうか?不思議な空間を演出するんですね。 曲を聴きながら、Aのオススメが初めて当たったなぁ…なんて思ってました。 するとその曲の途中、急に変な気分になったんですね。違和感というか。 ふと隣を見ると、さっきまで体を揺らしていた…私より少し年上、20台半ばでしょうか?男性が居たんですが、急にピタッと動かなくなったんですよ。 妙だな~と思って横目でその男性を確認してみると、演奏してるバンドの上の天井の辺りをじーっと見ているんですね。 そして、暫くすると外に出てっちゃったんです。 変な人だな~、なんて思いながら無意識にさっきの男性が見ていた辺りを見ると… あっ 向かって右の天井に並んでる照明のすぐ横…左側に髪の長い女の顔だけがニョキッと出てるんです。 スタッフかな?とも思ったんですが、人がそこに立つなんて無理なんですよ。 真下でドラムが演奏してるんですから。 怖いとは思ったんですが、周りに人が大勢居たもんで、暫くその顔を観察してたんです。 無表情な女の顔だけがその場所に浮いてました。 その時です。今流れてる曲の静寂の部分、あの蚊の飛ぶような音と同時にその女が口を開けたんです! そして少し顔の向きが変わって… あ…と思ったときには目が合ってました… 直ぐ様、人混みを掻き分けてライブハウスを後にしました。 さっきの男性も私と全く同じ体験をしたんだとすぐに理解しました。 後日、A君に聞いた話なんですが、あの曲に蚊の飛ぶような音なんて使われていなかったそうです。 それを聞いて色々と調べてみました。 カルテットはもともと5人組のバンドだったそうなんです。居なくなったのはキーボード担当の女性。しかもメインボーカル。 でもある時、運の悪いことに喉にポリープが出来てしまい、手術をしなければなくなった。そして、更に悪い事が重なって声が出なくなってしまったんだそうです。 その後、彼女は馴染みのスタジオに忍び込み、ブース内で自分で自分の首を絞めて亡くなっていたそうです。 実はその時の彼女の断末魔とでも言うんでしょうか。声がスタジオの録音機材に収録されていて、それが蚊の飛ぶような音だったそうです。 どうにかして声を出したかったのかも知れませんね… 私が見たライブの一年後、カルテットはいつの間にか解散してしまったそうです。 ひとつ余談がありまして、カルテットは4人になってから1枚だけアルバムを出してるんですが、その1曲にノイズと共に女性らしき声が混じっているっていうんです。 それが、こんな言葉なんだそうです。 「ひと…ぃ………じゃ…なぃ」 そして、ある心霊好きなエンジニアがその音を解析してみたところ、こう言ってるって事が分かったんだそうです。 「ひとり多いじゃない」 これって、どういう意味なんでしょうね? それと亡くなった彼女、ずっとショートカットだったそうです。 じゃあ、ライブハウスのあの女、一体誰なんでしょうね? →コメ欄にあとがき

走一路

@theburningrat / 175cm / MEN / ミディアムヘアー

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