しっぽぶんぶん
昔、あるところになかなか子どもが生まれない夫婦がいました。 でも、ある時、ようやくかわいらしい男の子が産まれました。 お父さんとお母さんはとても喜んで、この子が元気で長生きするように、と偉いお坊さんに頼んで、長生きできそうな名前を付けてもらいました。 お坊さんは一生懸命考えて、ありがたい意味や長生きした人の名前をくっつけて、長~い名前を男の子につけてくれました。 こんな名前です。 「じゅげむじゅげむ ごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい ぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなのちょうきゅうめいのちょうすけ」 お父さんとお母さんは、あまり長い名前なのでビックリしましたが、それでも一生懸命覚えて、子どもの名前が言えるようになりました。 こんなふうに。 「じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがんしゅーりんがんのぐーりんだいぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなのちょうきゅうめいのちょうすけ……ごはんですよー!」 「じゅげむじゅげむ ごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい ぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなのちょうきゅうめいのちょうすけ……お出かけしますよー! あら、いないわ。どこに行ったのかしら? じゅげむじゅげむ(以下略)……どこなのー! おいていっちゃうわよー!」 さて、その男の子は、長いありがたい名前のおかげか、病気も怪我もすることなく、すくすくと元気に育ちました。 やがてお友だちもできて、一緒に外で遊ぶようになりました。 ある時、ジュゲム君とお友だちがケンカになってしまって、ジュゲム君がお友だちの頭をぽかっとなぐってしまいました。 お友だちの頭に大きなたんこぶができました。 お友だちは泣きながらジュゲム君のお母さんのところへ言いつけに行きました。 「じゅげむじゅげむ(以下略)……のおかあさーん、えーんえーん、じゅげむじゅげむ(略)……がねぇ、ひどいんだよー! えーんえーん」 「あらまぁ、うちのじゅげむじゅげむ(略)……がどうしたって言うの?」 「えーんえーん。じゅげむじゅげむ(略)……がねぇ、ぼくのあたまをねぇ、うえーんうえーん」 「泣いていたら分からないわよ。うちのじゅげむじゅげむ(略)……がいったいどうしたっていうのさ」 「あのねぇ、じゅげむじゅげむ(略)……が、ぼくとケンカになってねぇ、そいでねぇ、じゅげむじゅげむ(略)……が ぼくの頭をポカッとなぐってねぇ、おっきなこぶができたんだよぉ」 「なんですって。うちのじゅげむじゅげむ(略)……があんたの頭をなぐって、おっきなこぶを作ったですって? どれどれ。あら、こぶなんてないじゃないの?」 「おばちゃん。名前が長すぎるから、もうこぶが引っ込んじゃったよ」 もうひとつのエピソード。 ある時、ジュゲム君は友だちと一緒に川へ遊びに行きました。 すると、ジュゲム君が足を滑らせて、川に落ちてしまいました。 ジュゲム君は泳げません。「あっぷあっぷ、たすけてー!」 これは大変だ、と友だちはジュゲム君のお父さんのところへ走っていきました。 (走る真似)「じゅげむじゅげむ(略)……のお父さーん、じゅげむじゅげむ(略)……が大変だよーー!!!」 「なんだ? うちのじゅげむじゅげむ(略)……が大変だって? いったいどうしたって言うんだ?」 「じゅげむじゅげむ(略)……がねぇ、ボクたちと一緒に川で遊んでいて、川に落ちちゃったんだよー!!!!!」 「なんだって!? うちのじゅげむじゅげむ(略)……が川に落ちたって!? それは大変だ。助けを呼ばなくて は!」 ジュゲム君のお父さんは隣の家のおじさんに助けを求めました。 「おい、うちのじゅげむじゅげむ(略)……が川に落ちたらしいんだ。一緒に手伝ってくれないか」 「なに、あんたんとこのじゅげむじゅげむ(略)……が川に落ちた! そりゃ大変だ。急いでいこう!」 お父さんとおじさんが川に着いたときには、ジュゲム君の姿はもうどこにも見えませんでしたとさ。 これで本当におしまい。
