「8月の思ひで 京都篇 3」 絶壁の壁。 滝のようだった。 そう、ここは京都の老舗抹茶屋。 ではなくダム。 というか着く前から薄々気付いていた。 「あぁー、これ、絶対目的地通り過ぎてるわー。」 と。 Uターンだ、目的地付近まで戻る。 多分この辺りだ。 この辺は歩行者が多い、駐車場も少なそうだ、付近にあるタイムズ的な場所を探した。 すると、まぁさんから耳を疑うような言葉が飛び出した。 まぁさん「、。@#/&_'"().,☆♪→¥$€%°#○＊・+×÷<=>「」:〒々〆^|\()[]〜….,-/」 ふむ。 目的のお店がどうやらあと10分程で閉店らしい。 確実にラストオーダーは過ぎている。 この時、2人は何故か他人事のように笑っていた。 次の店を探す。 調べるとどのお店も同じような時間に閉店していく。 さすがに少し焦る。 とりあえず新たな店を見つけだし、一旦車を停めてナビに入力しなければ! という名目の元、僕はナイスなタイミングでセブンイレブンを見つけだしトイレへ行く。 さぁ、新たな目的地へ出発!(閉店まで残り30分) 目的地へ向かって走っているといきなりまぁさんが騒ぎだした。 まぁさん「、。@#/&_'"().,☆♪→¥$€%°#○＊・+×÷<=>「」:〒々〆^|\()[]〜….,-/」 ふむ。 どうやら元々行こうとしていたお店の別店舗をたまたま発見したらしい。 そしてこっちの方は営業時間も長いっぽい。 という事でいきなりすぎた到着。 店内へ。 今思えば、京都駅の中に入ってそうな抹茶カフェ、という感じだった。 しかし、来れた達成感の方が圧倒的に強く、僕は少しファミレスチックだとか、地元民っぽい人がまるでコンビニに入るようにラフに入店してくるとか、そういう都合が悪くなるような事はなるべく見て見ぬフリをして、「京都の抹茶屋」に来たという身構えで注文した。 しばらくして抹茶パフェ、抹茶ラテが来た。 とても美味しそう、いただきます。 上の生クリームを一口。 うんうん。 生クリームを二口。 うん、まぁさんも喜んでるみたい、良かった。 生クリームを三口。 うん、う、んー。 んー!んー! んー! 吐き気襲来。 完全に胃がクラッシュしていた。 そして、同時に京都の抹茶屋に来たという達成感からかバーンアウト。 吐き気と眠気が一気に襲って来た。 よくよく考えたら当たり前だ。 2時間睡眠(今思い返せば正確には1時間30分)、起きてからここまで何も食べてない、眠気防止策でブラックコーヒー飲みまくる。 とにかく眠くて気持ち悪くて大変だった。 もう少しで人に戻れなくなるところだった。 そんなこんなでぼちぼち閉店という事でお土産を買ってお店を出た。 (吐き気を催しながらもお酒を購入した僕はきっと相当な酒好きだ) 僕の抹茶好きは皆さん公認だと思うが、僕は京都へ来て、京都の抹茶屋に行き、抹茶パフェを注文して、抹茶パフェの上に乗っている真っ白い生クリームを3口だけ食べて店を出たのだ。 僕の口に緑色の食べ物は運ばれていない。 むしろ、僕が手にしたスプーンは緑色の箇所に到達すらしていない。 抹茶ラテも2口だけだ。 アホだ。 映画館に映画を見に行って、予告だけ見て帰ったのと同じような事だろう。 きっと店員さんもびっくりしたと思う。 お前、何しに来たんだよ! と、思うだろう。 もしかしたらとんでもない抹茶通が来たと思われたかもしれない。 あのボリュームの抹茶パフェなら、女性同士なら写真を撮ってキャッキャ言いながらインスタにアップしてるはずだ。 (まぁさんは撮っていた) が、僕は淡々と生クリームを3口だけ食べ、店員さんがテーブルに運んでくれた状態とほぼ同じ状態のまま店を出たのだ。 そんなに不味かった!? と、店長さんもびっくりだろう。 これが何らかの刺激になって、あのお店がもっと良くなってくれれば僕も嬉しい。 ………。 レポーター「えー、今、京都で1番美味しい抹茶パフェが食べれるという噂のお店に来てます! こちら店長さんです!」 店長「どうも」 レポーター「どうしてこんなに美味しい抹茶パフェが作れるんですか?」 店長「元々抹茶パフェは昔からメニューにあったんですけど、そうですね。少し前の話ですが、いつものように作ったパフェを生クリーム3口だけ食べて帰られたお客様がおられまして。」 店長「そこからですね、今まで以上に真剣に取り組もう!みたいな、結局、今までは自惚れてたんですかねー。」 店長「さすがにその時はショックでしたけど、それがきっかけで今がある訳ですから、今はそのお客様には大変感謝しております。」 ………。 「8月の思ひで 京都篇 4」へ続く